デる杭は打たれてもへこたれない

上の写真の御方、誰だかわかるでしょうか? IT業界にいる人なら分かりますよね。え、わからない?? この方は、デルのCEO、30年ほど前のマイケル・デルさんです。ぼくが大事に保管している『シリコンロード ~日米46人のキーマンによる "パーソナルコンピュ…

『ストーリーとしての競争戦略』について

それなりに売れた本ですしこの手の書籍の古典として扱われていることもあるので読まれた方も多いと思いますが、12年前に刊行された『ストーリーとしての競争戦略』という本を "積読/ツンドク" の山からマイニングしてきまして2回ほど読んでみました。競争戦…

『テクノロジーが予測する未来』について

14年ぶりに米国から拠点を日本に戻した元MITメディアラボ所長の伊藤穰一さん(Joi)による、最新テクノロジーから読み解く近未来の展望です。一度読んで、1ヶ月程度間を空けてから改めて読み直す、という普段あまりやらない読み方をしました。それは、一読し…

実践的教養としての『武器になる哲学』

高校から学生時代にかけて、哲学やさまざまな「思想」、心理学などに俄か熱中していた時期がありました。その頃は構造主義だポスト構造主義だと友人と酒を交わしながら語ったりすることがカッコいいと思いこんでいる輩がそこかしこで見られるという時代背景…

Kindle新調

数年ぶりにKindle(Paperwhite)を買いました。11世代目のモデルだそうです。ぼく自身としては3代目(3台目)。 これまで使用していたKindleに不具合が出たわけでも不満があったわけでもないのですが、使用中のモデルを妻への「おさがり」として進呈するの…

藤井風と風間塵(『蜜蜂と遠雷』より)

この年末年始をまたいで恩田陸の小説『蜜蜂と遠雷』を読んでいました。松岡茉優、松坂桃李らが出演する映画版を年末に観たことがきっかけで原作に手を出した、といったパターンです。 『蜜蜂と遠雷』は、とある国際ピアノコンクールのコンテスタント(コンク…

『ティム・クック』は語らない

ティム・クックという人物にぼくはあまりにも無関心ではなかったか、ということに、アマゾンからこの本のリコメンデーションを受け取るまで気付いていませんでした。勝手な思い込みかもしれないけれど、世の多くの人は同じような目で彼を見ている、あるいは…

クラウドの資格を取ろう!(Microsoft Azure編)

マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」の認定資格のひとつ、「Microsoft Azure Administrator Associate」を取得するためには、「AZ-104」という試験に合格する必要があります(2021年10月時点)。今回、このAZ-104の試験対…

2021年のウェブ進化論

梅田望夫。この名前を聞いて何らかの反応をするひとと誰この人?という感想を持つひとにテクノロジー業界人は二分されると思います。この方は、21世紀初頭に「インターネットによってもたらされる産業構造と社会の大変革を熱く語り、その代表著作『ウェブ進…

妄想のススメ~『妄想する頭 思考する手』

それが生み出されたときは何の役に立つのか本人にもわからなかった技術が後に斬新で先進的だったと評価される発明をいくつも世に送り出してきた著者による、妄想のススメ。な本です。 東大大学院の教授でありソニーコンピュータサイエンス研究所で副所長を務…

日本のオードリー・タンはどこにいる ~ 『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』

「台湾のデジタル大臣」を取り上げた記事を以前書きましたが、その時の「大臣」ことオードリー・タン氏の日本向けの本が刊行されておりましたので、読んでみました。 koichi.hatenablog.com 著者のオードリー・タン氏は高いIQ、中学中退でトランスジェンダー…

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は初夢のようである

村上春樹のファンというわけでは全くなくて、読んだことのある作品といえば学生時代に流行った『ノルウェイの森』と、何かがきっかけで(そのきっかけが思い出せない!)手に取った『海辺のカフカ』だけというぼくが、そのタイトル(だけ)に興味を引かれて…

網羅的に宇宙ビジネスを知る ~『宇宙ビジネスの衝撃』

動きの激しいテクノロジーが関わる領域を語るにはやや古い(約2年前)本とも言えますが、「宇宙ビジネスとは」と聞かれて宇宙旅行ぐらいしかイメージできないぼくのような人間にとっては、地球をめぐる比較的近くの宇宙で今(と言っても2年前の時点の、です…

ガチ文系が立ち上げた宇宙ベンチャーの話〜『小さな宇宙ベンチャーが起こしたキセキ』

ひょんなことから最新の宇宙ビジネスについてちょっと調べたくなり(クルードラゴン打ち上げとは関係なく、少し前から気になってました)、アマゾンで解説本的なものを探してみたのですが、これが意外と無い。最も新しいものでも2年前の刊行で、特に変化の激…

ウイルスと人類の戦いと共生 ~ 『ウイルスは生きている』、『生物と無生物のあいだ』より

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が全世界的に広がり、目に見えない、そして「新型」であるがゆえに 適切な治療法・体勢や薬が確立されない状態でその拡散の勢いをなんとか食い止めようとする日々が続いていますが、そもそもウイルスとは何であるかにつ…

『「あなたの知らない」マーケティング大原則』について

『劇薬の仕事術』の著者であり日本マクドナルドをはじめ数々の企業のマーケティング責任者を務めてこられた足立光氏の共著ということで『「あなたの知らない」マーケティング大原則』を読んでみました。 同書は、マーケティングを基礎から学ぶ本というよりも…

『THE MODEL』(ザ・モデル)について ~ マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス

B2Bビジネス、とりわけクラウド(SaaS)時代のマーケティング~営業プロセスのお手本となる「THE MODEL」の解説を主題としながら後半には著者の経験を基にしたマネジメント論も展開される、読み応えのある良書です。著者は、日米のオラクル、セールスフォー…

『「劇薬」の仕事術』雑感

前・日本マクドナルドCMOの足立光氏が書き下ろした『「劇薬」の仕事術』を読みました。 足立氏については知人からも含め様々ところからすごい人だという噂を耳にしていましたが、その氏が「劇薬」なんて刺激的な言葉を書名に持ってきた本ということでどんな…

アマゾンとマイクロソフトとコンカーの本

少し前のことですが、比較的同時期にアマゾンとマイクロソフトとコンカーという三つのテクノロジー企業に関連する書籍が出版されまして、IT業界に身を置くものとして少なからず興味は持ちましたので、並行して読み進めておりました。最初のふたつは、第三者…

マイクロソフトCEOとの対話『ヒット・リフレッシュ(Hit Refresh)』

1975年の創業以来四十余年もの長い間CEOが3人しかいない、変化の激しいこの業界にあってある意味異色な企業であるマイクロソフトの現CEO、サティア・ナデラによる書下ろし『ヒット・リフレッシュ』を読みましたので、若干感想を。 会社として異色であると同…

『SHOE DOG』〜 ナイキの話

ナイキの共同創業者、というより「言い出しっぺ」であるフィル・ナイト氏による自伝、『SHOE DOG(シュー・ドッグ)』を読みました。 以前はナイキというアメリカのプランドにはさほどの興味もなく、靴に関してはアディダスと同じように、コテコテ日本人型の…

シェアする心と『治る前提でがんになった』(読後感)

この本は、「がん」をめぐる闘病記(個人的な記録)であり患者学(がんに打ち勝つ術)であり、そして、著者・高山さんが悪性脳腫瘍、白血病・悪性リンパ腫というふたつのがんと向き合うことによって本当の意味で見えてきたことを「がんになることの意味」と…

週刊ダイヤモンド『いまさら聞けないIoTの全貌』がおもしろい

9月28日(月)発売の週刊ダイヤモンド『いまさら聞けないIoTの全貌』がおもしろいです。 「いまさら聞けない」というタイトルを付けられてしまうとかえって手に取りづらくなるのはぼくだけではないと思うのですが、そのような無駄なプライドは封印してで…

LINEとトヨタの社風を学ぶ

同時期に好対照のふたつの本を読みましたので、その感想を。 『シンプルに考える』(森川亮・著) 『トヨタの自分で考える力』(原マサヒコ・著) どちらの自己啓発本も「自分のアタマで考えて行動せよ」という点では言いたいことの根っこは同じなのですが、…

素直な気持ちになれる本 『「相対性理論」を楽しむ本』

大学では物理学科に在籍していたなんて過去はちょっと伏せさせていただきますが、ぼくは物理の入門本を読むのが大好きです。あらゆる現象について、なぜそうなるのかを徹底的に追究するのが物理ですが、そんな「なぜ?」という気持ちをいくつになっても忘れ…

書評と感想文

本に関するブログの書き方には大きくふた通りあると考えています。 ひとつは「書評」であり、本の内容に対する自分の考えを示すことによって、同じ本を読んだ人との間で直接的にせよ間接的にせよ議論の輪が広がることを期待するもの。(前向きに書評してる人…

ブログは道。 〜 『頂点への道』(錦織圭、 秋山 英宏)

プロテニスプレイヤーの錦織圭選手、見事バルセロナ・オープンを連覇しましたね。決勝はテレビで生観戦していましたが、決して順調とは言えない苦しい展開の中、底力の違いで栄冠を勝ち取ったというふうに見えました。 …などと言ってはおりますが、ぼくはテ…

自分眼を磨こうぜ、というお話 〜 『マーケット感覚を身につけよう』

ブログやツイッターで「大事なことをたくさん書いた」と著者がしつこく宣伝するものだから予約までして入手しちゃいましたよ、『マーケット感覚を身につけよう』(ちきりん著)。とはいえぼく的には、この本と対になるとされる既刊『自分のアタマで考えよう…

仮タイトルは「麻布って変だ」 〜 『「謎」の進学校 麻布の教え』

タイトルにつられて買ってみたのですが、なかなかおもしろい本でした。 うちの場合は、親としての私たちの考えと子供自身の気持ちを合わせて考えた結果、娘も息子も中学受験はしない(=地元の公立中学に通う)と決めていましたので、麻布については深く調べ…

「SAP本」へのお誘い

2014年、その年末も押し迫った砌、「SAPの"いま"」を伝えることを目指した本が出ました。日経BPビジョナリー研究所さんによる書籍ですが、SAPジャパンの多くのメンバーも参加したちょっとしたプロジェクト(社内コードネーム「エスエーピーボン(SAP本)」)…